(6) 混合熱にて説明したように,CO2とジアルキルカーボネートを混合させることにより, 最大約9.0 kJ mol-1(298 K, 5.0 MPa)の極めて大きな熱効果が現れます.
この発熱が最大となる温度はCO2の臨界温度とほぼ同じですが,圧力が臨界圧力より約2.0 MPa (20 atm) 低く, このことは両混合系の給熱システムへの利用において,操作圧力の低減化につながります.
この結果を用いて本研究室ではCO2の臨界領域における混合熱を給熱に利用するために給熱システムを設計し, 発熱の回収実験を行っています.本システムは以下の特徴を持っています.
1. 常温付近においてCO2と溶媒との混合により大きな熱をえることが可能
2. CO2の臨界点近傍から圧力をわずかに下げるだけで気液分離が生じてCO2と溶媒とを容易に分けることが可能 →混合ならびに分離のサイクルを組み立てやすい
3. CO2のみを用いるヒートポンプに比較して操作圧力が低い(約5 MPa)